2009年10月31日

サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト (SPP)

昨日、南山女子部で霊長類学の講座をしてきた。

これは、JSTのサイエンス・パートナーシップ・プロジェクトによる補助事業だ。僕が南山とかかわるのはモンキーセンター時代から数えると5回目になる。事業実施主体である南山のM先生の熱意と努力のたまものである。

昨日の講座は、来月行う嵐山モンキーパークいわたやまでの野外実習の事前学習という位置付けで行なった。実習の大きなテーマは「「社会」という目にみえないものを、行動観察から"科学的に"読みとる」とした。

野外実習は、サルの行動観察でおきまりの「近接」と「毛づくろい」を個体追跡によって観察してもらい、そこからサルどうしの社会関係をよみとって、ニホンザルの社会構造について何か考察してみよう、というオーソドックスなものだ。去年は、事前学習なしにいきなり実習だったが、今年は講座のテーマを事前にはっきり伝えることで、より高い学習効果を期待している。

高校生を相手にした講座も、5年もやると(実際はSPPでないものも含め6回目なのだが)、だいぶ呼吸がわかってくる。M先生との連携も、気心が知れてきてスムースになったし、参加する生徒にもリピーターがいて、前回よりさらに楽しくなってきた。継続は力なりである。

実習は来月下旬。紅葉まっさかり。楽しみだ。

2009年10月25日

調査地のGISデータベース構築に挑戦(2): データソース

作業にとりかかるまえに、まずは使用するデータソースを選定する。

調査データ: GPSの waypoint と track

最重要なのは、フィールドで実際に得るさまざまなデータだ。踏査ルート、トランセクト、動植物やその痕跡の観察地点、人間の痕跡の観察地点、その他のランドマークだ。これらは、基本的にGPSに記録された waypoint または track データだが、既存の紙の地図上に記入されたものもある。

衛星画像: ETM+ (Landsat 7)

データの視覚化と、将来の植生解析のために、衛星画像を用いる。最近は高解像度の衛星画像を購入可能なようだ。JICA/JSTの予算で購入予定だが、データベースの試験的構築にあたっては、無償で入手可能なものから試してゆく。当面使うのは、Landsat 7が撮影した ETM+ だ。USGS (United States Global Survey)のウェブサイトから無償でダウンロードできる。

標高データ: SRTM

ムカラバの地形図はない。利用可能なのは、スペースシャトル・エンデバーによるSRTM (Suttle Radar Topography Mission) によって得られた解像度約1km90mの標高ラスターデータである。ETM+同様、USGSのウェブサイトから無償でダウンロードできる。

植生図、エコリージョン

CARPE (Central Africa Regional Program for the Environment) が、コンゴ盆地周辺の自然保護や生態研究に有用なGISデータを無償公開している。これらも使わせてもらう。また、WWF-Gambaが1990年代おわりに作成したムカラバ周辺の水系、道、集落のデータと植生図のデータも手元にある。

その他

GeoCommunityなど、使えそうな地図データを公開しているサイトはほかにもある。また、紙の地図もある。これらは、おいおい必要に応じて追加してゆく。

次回は、それぞれのデータソースの詳細と入手方法を記す。

2009年10月23日

調査地のGISデータベース構築に挑戦

9月から開始したJICA/JSTの地球規模課題対応国際科学技術協力事業「野生生物と人間の共生を通じた熱帯林の生物多様性保全」では、主要な成果のひとつとして調査地であるムカラバ国立公園の生態系マップの作成というものがある。年明けから広域で動植物相の調査を開始する予定だが、そのデータも、地理情報としっかり関連づけてゆかねばならない。

そのために、センサスの計画デザインと、GISを含む生態データのデータベースの構築が、僕の年内の仕事になる。

今回、GISも含め、データベースはすべてオープンソースのソフトウェアを使用する方針だ。なぜなら、いずれそれはガボンのIRETに移管するからだ。高価なソフトウェアでデータベースを組んでしまっても、のちのち使えない。

今考えているのは、GRASS GIS + SQLite + R + MapServer という組み合わせだ。OSはUbuntuのサーバ版にしようかデスクトップ版にしようか思案中。とりあえず、サーバにするマシンの選定をしつつ、自分のノートPC上にテストシステムを構築してみる。随時経過をアップしてゆきたい。