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2009年11月24日

追悼: 日高敏隆さん

今朝のニュース。

動物行動学の第一人者、日高敏隆さん死去...79歳(Yomiuri Online)

日本に動物行動学、そして社会生物学を根づかせた功労者だ。学部の頃に授業をうけたが、著書ほどにはおもしろくなかったのを記憶している。だが、それは著書が抜群におもしろかったということだ。

ドーキンスの「利己的な遺伝子」を翻訳したり、社会生物学の紹介者としての功績がたたえられることが多いが、僕にとっては、生物学における人間中心主義を徹底して解体しようとした点にもっとも共感する。

また、社会生物学者のなかには、現象をほとんど見ず、借り物の理論を使って生物界を(表層的な)合理主義で説明するだけのおもしろくない人もたくさんいるのだが、日高さんの、さすが元昆虫少年というか、ナチュラリストというか、なによりもまず動物のさまざまな行動の「おもしろさ」を大事にする雰囲気も好きだ。

もっとも感銘をうけた著作は、「動物という文化」だ。これは、動物の形態・生態・行動の多様性を「文化」になぞらえて説明したものである。文化に下等も高等もないように、動物の生きかた、ありようにも下等も高等もないのだよ、という強い思いが感じられると同時に、ナチュラリストでもなんでもない僕にとっては、「なんだかわけのわからない動物たち」でしかないたくさんの動物たちの生き方が、魅力たっぷりに語られている。生物多様性に興味のある人々には、ぜひ読んでほしい。

ご冥福をお祈りします。合掌。