2009年4月20日

「セックスの人類学」刊行

去年から編集と執筆に携わっていた本が出た。


セックスの人類学 (シリーズ来たるべき人類学)

春風社
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すでに共著者の人たちもブログで紹介しているけれど、あらためて。
動物の研究者3人と、文化人類学者7人の共著だ。僕は長いこと考えてきた、観察を通じて「感じられてしまう」ニホンザルの"セックス"についてやっと文章にすることができて、満足だ。

やはり人に読んでもらうのは大事だなーと思ったのは、編者のひとりである奥野さんが、僕の原稿を読んで「あなたは一貫してサルとヒトの『間』を見ているようだ」とコメントをくれた時だ。僕自身は、自分が何を見ているのか、わかっているつもりだったけれど、それを表現する言葉がなかった。「サルとヒトの間」という言葉は、とてもすんなり心に入ってきて、そうだ、僕がみていたのはそれだ、と思えた。奥野さんに感謝である。

自分の章以外の(^^;)おすすめは、まあ全部なのだが、まずは篠原さんのイルカの章。原稿段階から何かぶっとんでいたけれど、あらためて活字になったものを読むと、やっぱりすごい。シロナガスクジラの男性器は人間よりおおきいんだねー。あと、「それが正装か!」とか...。

人間のほうでは、市野澤さんの章が心に響く。"性転換"とは、男が女に、女が男になることではなく、身体としては「男でも女でもないもの」になることであり、性同一性障害とよばれている人々(の一部)は、現行の法律のもと、身体的性別を捨て去ることとひきかえに、望む「法的な性別」を手に入れる。結局は、「心の性」と「身体の性」は一致させられることのないままに。

この本のもとになったシンポを開いたときは、正直「こんなんで本になるんだろうか」という思いが強かった。しかし、著者、編者のみなさんと原稿のやりとり、議論を通じて、だいぶ面白いものになったと思う。謹呈した方々からは、「電車の中で読みにくい」という声も聞こえてくるが、多くの人に読まれたいなと思う。

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