2009年8月14日

フィールドワークの入門書2冊



出発前になんとか読みおわった。フィールドワークに関する本二冊。主にエスノグラフィー(民族誌)を書くためのフィールドワークの入門書だが、類人猿研究にも応用できる部分が多々ある。

「恥知らずの折衷主義」と称して、ひとつの方法、単一の尺度にしばられるのではなく、さまざまな方法を駆使していろんなタイプのデータを集め、それらを組合せて説得力のある理論的説明を鍛えあげるというアプローチに大きくうなずく。

自然科学では、なるべく少ない分析項目で言いたいことを示すほうが「かっこいい」とされているが、大型類人猿の生態のような、スケールが大きくてつかみどころのないものについては、もっと自由な方法論でいろいろやってもいい。とくに、ムカラバのような、あたらしいところでは。

文章は平易でわかりやすく、初学者にもよみやすい。学生むけの教科書にしてもよい。かならずしも民族誌的調査に限らず、社会調査全般の教科書としてつかえるだろう。




2009年8月13日

2009年度調査(その1) 出発

明日から35日間、ガボンに出張します。

パリで2泊して、フランス自然史博物館の人類学者Marcel Hladick, Annette Hladick夫妻、霊長類学者のSabrina Krief、ガボンでピグミーの研究もしているSerge Bauchetたちと会う予定。 Sabrinaは類人猿保護のための環境教育キットを作ったりしているらしく、話を聞くのが楽しみだ。

ガボンは、もちろんムカラバ。日程的には、25日間森を歩くのを、まずは目標にしよう。

だんだんプロジェクトが大きくなってきて、雑務も増えているけれど、初心にかえってがんばろう。今回はいよいよチンパンジーの人づけにむけ、チンプ追跡隊を組織する。

2009年8月11日

ガボンで類人猿調査をするには?(7) 旅行2 パリ

前回のエントリで日本を出発したので、次はパリ。

〜パリの道中と時差ボケ対策

日本→パリでは、あまり時差ボケはでないですね。特に、日中の移動の場合は。でもある程度ぼけるので、ぼけを小さくする対策を紹介する。

経験的に、一番いいのは

  • 飛行機に乗ったらすぐに時計をフランス時間にあわせる。
  • 離陸してなるべく早いうち(つまりフランスの未明の時間)にひと眠りする。
  • あとはひたすら起きたおす。

である(日中移動の場合)。眠れなければ、ひたすら起きたおす(フランスで徹夜してるつもりで)。日本の夜にあわせて機内で眠ると、けっこう時差ボケが残ることがある。

で、パリに着いたら、

  • 暗くなるまでのんびりして、遅めの時間に夕食をとって寝る。(これが結構しんどい。食べながら眠ってしまったりする)。連れがいるときは、飯のあとちょっと飲みながら話したりするとよい。
  • 早朝に目がさめてしまうが、7時ごろまでベッドの中でごろごろする。うっかり文庫本をよんだりしない。
この、早朝に動きださない、というのがとても大事だ。帰りの場合もそうなんだが、「夜の時間帯は休む」のが時差ボケ対策のキモだと思う。仮に、昼間に寝てしまって眠くなくてもだ。

パリの宿泊

空港のへんで泊まる

空港内にもいくつかホテルがあるが、いいところは高い。リーズナブルなのは、


くらいかな。どっちも泊まったことあるが、ホリデイインのことはほとんど覚えていない。空港ターミナルからシャトルバスで移動するのに、えらく待たされたことしか覚えてない。

イビスは、ターミナル1の近くにあって、わりあい綺麗なホテルだ。が、部屋が狭い。部屋でネット使えない(今はどうかしらんが)。そして、何よりも大事なことは、飯がおいしくない。ちょっと悲しくなるくらいにおいしくない。まずいわけじゃない。おいしくないのだ。もしIbisに泊まるなら、飯はシャトルバスでターミナル2に行って食べることをおすすめする。

となると、パリまで電車で25分くらいだし、運賃もたしか6ユーロか8ユーロだったと思うので、パリまでゆけば、電車代相当額くらい安いホテルに泊まれる。

パリのおもいでのホテルたち

Hotel Printania Temple

レピュブリック広場の近く、地下鉄レピュブリック駅から23kgのスーツケースを転がして徒歩10分。安くて家庭的なホテルだ。地中海系の顔をした、魔女みたいなおばあさんがきりもりしている。まだ元気かな。1994年にはじめてアフリカへ行くときに黒田さんと泊まったホテル。むかしむかし、まだインターネットがなかった時代、空港に電話つきホテル案内板があり、そこから黒田さんが電話して予約した。その後しばらく定宿にして、のちに新婚旅行でも泊まった。

近くにおいしいレストランがたくさんあって、食事には困らない。道むかいに雑貨やさんがあって、水とかスナックとかワインが買えて便利だった。

今でも、とても気にいってるのだけれど、空港から来るのに乗り換えなくてはならず、また地下鉄の駅からかなり歩くので、疎遠になってしまった。荷物の少いパリ旅行をする機会があったら、また泊まりたい。

Richmond Gare du Nord Hotel Paris

悪いホテルじゃないです。安いし。空港から北駅に来て、駅を出てすぐ目の前と立地もいい。ただ、まあ、なんちゅうか、安宿ですな。2002年、安藤さん初ガボンのときに泊まった。半日自由行動にして、18時にホテルのフロントでまちあわせたら、安藤さん、いろいろあって19時に来たという...。

Nord Hotel

やはり北駅を出てすぐ目の前にあった。Richmondが、なんちゅうか、もうちょっとなぁ、という感じだったので開拓したホテル。パリの自然史博物館に植物標本の同定にいったときに泊まった。パリのホテルではめずらしく、エアコンがついていた。というか、その年の夏、パリが猛暑だと聞いた山極さんたっての希望で、当時パリ大学に留学してた知人に探してもらったのだ。テレビもあって、日本の国際放送も受信してた。過去形なのは、なくなってしまったからです。

Le New Hotel Gare du Nord

Nord Hotelがなくなってしまったので、Richmondの隣のホテルを試してみた。去年の8月のことだ。悪くなかった。地下室が食堂になっていて、なかなか雰囲気もよし。他に二組くらい日本人がいて、割と日本で知られているのかなと思った。ネット使えなかった。

Timhotel Gare du Nord

今年の2月に宿泊した。上のリンクが示すように、楽天トラベルで予約した。北駅と東駅の間にある。駅からちょっと歩く。荷物がなければいいが、スーツケース持って歩くにはちょっと長いか。部屋にコンセントがひとつしかなく、パソコンを使いにくかった。朝8時に朝食のおばちゃんがまだ来てなくて、結局朝食をとれなかった。

Hotel Kyriad Paris X Gare du Nord

で、今回泊まるのがここ。実はここ、上述のNord Hotelの後釜。Nord Hotelの印象がとてもよかったので、またチャレンジすることにした。期待。

いや〜、結構いろいろ泊まってんなぁ。あと3個所あるけど、印象が薄いので割愛。

両替

両替は日本ですますのが楽だが、パリで時間があるならパリで両替するという手がある。ネットの情報では、日本で両替するほうがレートがいいと書かれているところが多いが、探せばパリのほうがレートがいい。

地下鉄のBourse駅のあたりに、両替やさんが並んでる一角があって、そこで一番いいレートの店を探すと、日本でキャッシュをユーロに替えるよりちょっとレートがいい。


大きな地図で見る

 このへんね。

あと、日本でアメックスのT/Cを購入し、パリのAmex本店かBNP Paribas銀行で現金化するという手がある。それだと換金手数料がかからないので、T/Cのレートでユーロの現金を得ることができる。

ただ、この方法をあまりおすすめできないのは、調査費のような大金を換金する場合、たくさんサインしなくてはならないという面倒くささがあるというのがひとつ。それから、昔は大金を換金しても何もいわれなかったが、しだいに、窓口でいろいろ聞かれたり、T/Cを購入した日本の銀行に問い合わせたり、たまに上限額を超えてるからだめ、と拒否されるケースがでてきたからだ。そういうわけで、僕は2002年以来T/Cを使ってない。ちなみにガボンでT/Cを換金すると、5%(!)の手数料をとられる。

このあと続けて観光案内を書くには長すぎるか...。まあ調査旅行だし。

ガボンで類人猿調査をするには(6) 旅行1 中部空港のあれこれ

前回更新からだいぶ時間が経ってしまったのは、霊長類学会のあとの燃え尽き症候群(?)のせいか...orz。

さて、あさってから一ヶ月ガボンだ。今回は、旅行の話。

経路

ガボンへ行くには、いろんな経路がある。が、一番無難なのはパリ経由だ。南ア(ヨハネスブルグ)経由もあるが、日本から直行便がなく、ヨハネスブルグまで時間がかかるし、ヨハネスには楽しいものがないので、あまりおすすめできない。

パリへは、Air FranceとJAL、ANAが中部空港から直行便を出している。が、AFはJALのコードシェアだ。そしてJALがパリ便を廃止するとか言っているので、先行き不透明である。その場合は大韓航空になるのかな。大韓航空はAF-KLMとおなじSky Teamのメンバーなので、AF、JALのマイレージカードを使える。

中部空港からパリに着く便は、朝出発して夕方到着である。

パリからリーブルビルまでは、Air Franceが週3便か4便でている。昼前に出発して夕方到着する。以前は夜出発して早朝に到着する便があったのだが、なくなってしまった。夜出る便があると、トランジットでパリに泊まる必要がないので楽だったのだが。

帰りは、リーブルビルを夜でて翌朝パリに到着する。そして、パリを夕方出発して翌日の昼ごろに中部空港に到着。

さて今回は、日本を発つまで。

自宅〜中部空港

名鉄特急ミュースカイで、名古屋から30分程度。中部空港の駅のホームに降りてからチェックインカウンターまでは、歩いて5分階段もエスカレータもなく、そのままゆける。

中部空港にて

駅を出て右手のスロープのむこうが、国際線出発カウンターだ。スロープを抜けたところにインフォーメーションがある。海外旅行保険のカウンターもあるので、入っていなかった場合はここで入れる。並んでいなければ5分もかからない。

チェックインカウンターは、JALかAFなら左側、ANAなら右側。チェックインはいつも並ぶなぁ。15分〜20分はかかる。

カウンターの向こうには、3階のショッピングセンターにあがるエスカレータがある。その横をさらに奥へゆくと、 東京三菱UFJの両替やさんがある。24時間営業。両替まだの人はここで。混んでるけど。自分がもたつかなければ、10分〜15分

保安検査場の横には売店があって、ちょっとした旅行用品なら買えるが、出国ゲートの先にも売店があり、旅行用品関係はそっちのほうが充実している。

今まで、混雑しすぎて保安検査の前で長時間並んだという記憶はない。混んでいても割合スムースに流れる。むしろ、そのあとの出国ゲートで待たされる。保安検査に並んでから出国するまでの時間は、混んでるときで30分弱か。

出国ゲートを出て左側にゆくと売店がある。旅行用品、電気製品のほか、文庫本や雑誌も買える。もちろんペットボトルも。いつも大混雑。買うものを決めるのに15分、そこからから精算に5、6分は見ておこう。

AF、JALの場合、搭乗ゲートは売店の反対の右側。途中に両替やさんがあるが、いつも行列。ここをあてにしてると、時間がなくなるかも。

搭乗ゲートの近くにスタバがあるのがうれしい。時間がくるまでのんびりコーヒーがのめる。出国から搭乗ゲートまでは、動く歩道があるので3分

さて、ここまで所要時間を合計してみると、空港駅についてから1時間30分あれば、保険にはいってチェックインして両替して保安検査して出国して買い物することができる。両替とか保険とか買い物がなければ、1時間。電車が遅れるとか、特別の事情でものすごく混雑する場合を考えても、空港駅に2時間前に着く電車に乗れば、まあ乗り遅れることはない

あと、搭乗ゲート付近では無線LANによる通信が可能。しかし、プロバイダのサービスに加入していなくてはならない。freespotになってほしいのになぁ。

さて、搭乗までを長々と書いたが、なぜこんなに長く書いてしまうのかというと、僕が海外調査に出かけるとき、もっとも緊張するのが、家を出てから飛行機に乗るまでだからだ。何回行っても、出発前は不安でいっぱいになる。何が、ってことはないんだけど。そして、チェックイン、保安検査、出国、搭乗と、ひとつクリアするごとにちょっとずつ緊張が解けてゆく。

離陸してベルトのサインが消えると、「もうじたばたしたってはじまらないな」と逆にリラックスする。そして調査への期待が高まるのだ。