2010年9月26日

[論文] クロスリバーゴリラのネストサイトの選好性

今週は、類人猿のnesting behaviorについて勉強しようと思う。


カメルーンには、クロスリバーゴリラの保護区がふたつあるそうだが、そのうちのひとつ、Kagweneゴリラサンクチュアリのゴリラのネストサイトの特徴を調べた論文。おそらく、生息調査のついでに収集したデータをまとめたものだろう。

結果には、ゴリラ研究上とりたてて目新しいところはない。ポイントはふたつ。
  1. クロスリバーゴリラも、ニシローランドゴリラ同様、乾期には地上ネストを多く、雨期には樹上ネストを多く作る。
  2. Kagweneは伝統的にゴリラのハンティングは行われてこなかった。にもかかわらずゴリラは農地の周辺にはネストを作らない。人と出会う可能性の高い場所はネストサイトとして選ばれにくいようだ。
最近のAJPは、保護活動のための総合調査の結果を、たいしたディスカッションもなしに提示しただけの論文が多く掲載されるが、どうなんだろう。original articleでなければ、どしどし載せてほしいと思うのだが。

2010年9月21日

後期開講まじか


20年ぶりに日本で開催されたIPSが終わった。20年前には学部生でスライド係をしていたなぁ。

国際学会や研究会は、(残念ながら?)国内のみの学会よりも刺激的だ。国内学会だって刺激的だが、日頃まわりに研究者が少ない状況におかれていると、ついつい「研究者がいっぱい」ということだけに感動し、はしゃいでしまう。

それは国際学会でも同じなのだけれど、やはりいろいろな意味で緊張感がある。めったに会えない人、めったに聞けない話、そして、あらたな出会いへの期待。

今回は「Great Apes and Biological Diversity」と題したシンポジウムをオーガナイズした。いろんな調査地から人をよんで、類人猿そのものから少し視点をずらし、かれらの生息環境を比較対照してみようというのが目的だった。

そのシンポに、サマンサというアメリカ人の女の子を呼んだ。チンパンジーの物質文化の研究者で知られる、ビル・マックグルーの学生だ。まだ学位論文を書いている最中の若手だが、これがヒットだった。去年読んだ「Chimpanzee as faune」という論文が気に入って、無理をして呼んだのだけれど、十分呼んだ甲斐があった。モンキーセンターにいたころから、シンポジウムや研究会に「これ」と思って知らない人を招待することをやってきたが、今まですべて当たりだ。我ながらコーディネーターの素質があるのかしらん。

さて宴のあとは後期の授業がはじまる。IPSで得た刺激を日々の生活に埋没させないよう、がんばっていこう。

2010年9月 3日

帰ってきたぞ


月末に帰国した。関空着は、空港についても家までが遠い。風呂もない。
いつも、フィールドで「帰国したらもっと〜しよう」といろんなことを考えるが、一度としてうまくいった試しがない。しかし、今回は渡航が短かったのと、すぐそこにIPSが迫っているのとがあって、帰国翌日からまじめに働けている。授業がはじまっていないのもいい。

さあ仕事仕事。