2008年12月13日

アイデアを整理する

学生に勧められる勉強法の本を考えていて、だいぶ古いけどやっぱり梅棹忠夫の「知的生産の技術」じゃないかと思って、久しぶりに読みかえしてみた。

僕が大学に入った頃には、大学生ならこれを読まなきゃ、というくらい有名な本だったが、最近の学生はまったく知らないようだ。もっとも、同僚の教員もほとんど知らないみたいだったけど。

「情報はカードで整理する」というのがこの本の基本的な内容だ。でもそれは今みたいにパソコンんが普及していない時代の話で、本書の中でもいずれ情報管理はコンピューターで行なう時代がくるだろう、というようなことも書いてある。

したがって、パソコン時代の今となっては、本書に書かれている情報管理の方法は古いかなと思っていたのだが、あらためて読んでみて、古いどころか今でもなお新しさに満ちた内容だと感じた。

最近は情報管理とか時間管理とか"ライフハック"とかがおおはやりで、ビジネスの世界から今や教育の世界にも進出してきそうな勢いだ。僕もそういうものが大好きで、GTDとか試みて(は失敗して)いる。そして、そういう本のなかには、「情報管理モノ」のはしりとしてこの「知的生産の技術」をあげているものがある。けど、本書は今の情報管理モノとは目標もコンセプトもまったく異なるといってよい。

大きな違いは以下の2点。

  1. 「情報管理モノ」では、管理する対象は外からの情報とタスクであるが、「知的生産の技術」では、もっとも重要なのはアイデア、発見である。
  2. 「情報管理モノ」では、管理された情報は最終的にどこかに仕舞われて、必要に応じて検索してとりだせされる以外は眠っている。一方、「知的生産の技術」では、情報は日々折々とりだしては眺めるものである
最近は、外から入ってくる情報があまりに多いため、その管理に追われるのは当然だ。だから、そっちのことばかり考えてしまう傾向になるのはしょうがない。でも、そういったことは、研究者の本来業務じゃないんだよね。そういえば、アイデア整理って最近してないなぁ、と反省した。

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