2009年4月14日

オランの新生息地発見???

Nokoさんのブログにもあるが、こんな記事が。

オランウータンの新生息地発見=インドネシアの森林、最大5000頭か
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090413-00000159-jij-int

ちょっと前に、
コンゴで数万頭のゴリラ生息地がみつかったという報告もあったが...。
このての情報は、眉に唾をつけつつ、その後の報告に注目するというのがいいと思う。

まず、オランウータンはフラッグシップ種なので、「オランウータンがたくさんいる」という報告は、単に「ここの森林が大事である」というよりインパクトがある。それを狙って発表しているのだろう。

日本で開発に反対する市民団体が「オオタカの営巣を確認した」と言うのと似ている。もっとも、オオタカの場合は、単にインパクトがあるだけではなく、そこの生態系の重要性の指標ともなるので、同じではないけれど。

第二に、大型類人猿の個体数は直接カウントではなく、かれらの痕跡の発見頻度をもとに、統計を駆使して推定値を出すので、実はかなりいいかげんなのだ。

「生活拠点」というのは、オランが毎日つくる「ベッド」のことだろう。つまり、該当する地域で生息調査を行なったところ、オランウータンのベッドを219個みつけたよ、というのが、この記事に語られている唯一の事実だ。

そして、「その数から推測すると、数百頭~数千頭」というのは、データを「ベッドの数から個体数を推定する統計ソフト」にかけてみたら、桁数さえ確定できないほど誤差の多い推定値しか得られなかったよ、ということだ。

ことの真偽は、結局のところ、実際に調査をスーパーバイズした霊長類学者をつかまえて、「あれってホントなの?」と聞いてみる以外にない。たぶん「It could be. (ホントの可能性はあるよ。)」ってくらいだろうけど。

人々に保護を訴えるには、ある程度インパクトのあるプレスリリースも必要だろう。けど、あまり針小棒大をくりかえしていると、そのうち信用をなくすのではないか。

逆に、この記事で「そんなところが新しくみつかるんだったら、今絶滅絶滅って言ってるのは何?」という反応をする人もいるだろう。

ということで「気をつけながら進め」で続報を待つことにする。

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