2009年4月21日

ラジオ出演

かもめ師匠の奥様のりーりーさんが、朝ドラでも話題のコミュニティFM「愛知北エフエム」で働いてらっしゃるというご縁で、ゲストに呼ばれて30分喋ってきた。まー、大学の宣伝ですな。

りーりーさんのテンポのよい話術のおかげで、さほど緊張しなかったけど、その場にいないリスナーを意識して喋るというのはやっぱ難しいものだ。

2009年4月20日

「セックスの人類学」刊行

去年から編集と執筆に携わっていた本が出た。


セックスの人類学 (シリーズ来たるべき人類学)

春風社
売り上げランキング: 58056

すでに共著者の人たちもブログで紹介しているけれど、あらためて。
動物の研究者3人と、文化人類学者7人の共著だ。僕は長いこと考えてきた、観察を通じて「感じられてしまう」ニホンザルの"セックス"についてやっと文章にすることができて、満足だ。

やはり人に読んでもらうのは大事だなーと思ったのは、編者のひとりである奥野さんが、僕の原稿を読んで「あなたは一貫してサルとヒトの『間』を見ているようだ」とコメントをくれた時だ。僕自身は、自分が何を見ているのか、わかっているつもりだったけれど、それを表現する言葉がなかった。「サルとヒトの間」という言葉は、とてもすんなり心に入ってきて、そうだ、僕がみていたのはそれだ、と思えた。奥野さんに感謝である。

自分の章以外の(^^;)おすすめは、まあ全部なのだが、まずは篠原さんのイルカの章。原稿段階から何かぶっとんでいたけれど、あらためて活字になったものを読むと、やっぱりすごい。シロナガスクジラの男性器は人間よりおおきいんだねー。あと、「それが正装か!」とか...。

人間のほうでは、市野澤さんの章が心に響く。"性転換"とは、男が女に、女が男になることではなく、身体としては「男でも女でもないもの」になることであり、性同一性障害とよばれている人々(の一部)は、現行の法律のもと、身体的性別を捨て去ることとひきかえに、望む「法的な性別」を手に入れる。結局は、「心の性」と「身体の性」は一致させられることのないままに。

この本のもとになったシンポを開いたときは、正直「こんなんで本になるんだろうか」という思いが強かった。しかし、著者、編者のみなさんと原稿のやりとり、議論を通じて、だいぶ面白いものになったと思う。謹呈した方々からは、「電車の中で読みにくい」という声も聞こえてくるが、多くの人に読まれたいなと思う。

ちなみに、上のアマゾンへのリンクバナーはMovableTypeのブログというか、どんなウェブページでも使えるアマゾンアフィリエイト作成ツールのamazoletを使っている。MovableTypeユーザで画像つきリンクを作れないとお悩みの方は、使ってみてはいかがだろうか。

2009年4月18日

春をみつける

娘の生活科の宿題。

さんぽをして春をみつける。ただし、桜以外。IMG_1187.JPG
というわけで、さんぽに出掛けた。

生態学のフィールドワークなぞしているものだから、さぞや自然に詳しかろうと思われることが多いが、実はなーんもわからん。子どもに聞かれても、ほんとにわからん。特に、園芸植物はまったくだめですな。

というわけで、自分で考えなさいといいつつ、実は何も手出しをできず、ただ見守るのみ。

むしろ、おばあちゃんの家で畑の手伝いしながら近くで遊んでるぶん、娘のほうが詳しかったりする。えらいもんだ。

2009年4月17日

MovableTypeのサイドバーにリンク集を追加する

このブログのサイドバーに、自分のスタティックなウェブサイトへのリンクをつけたかったのだが、どうすればいいのかよくわからなかった。

ホームページ製作工房さんのブログにやり方をみつけた。
(2008年1月30日のエントリ「サイドバーにリンクを追加する」)

おかげさまで、横のサイドバーに「ヤムイモ(公式、私的)」のリンクを貼ることができた。

「森の中」と「森の底」

ここ数日雨がちで、今朝もぽつぽつしてた。雨とともに、花粉も流れていってくれーと願っていたが、どうなることやら。


とくに火曜日の大雨はすごかった。夜まで会議で、そのあと山道を車で帰るのがおそろしいほどだった。コンゴのンドキにいたころ、何度かキャンプで大雨に降りこめられたことを思い出した。

森で激しい雨が降ると、キャンプのバラックから一歩も出られない。トイレにゆくのも一仕事だ。おまけに雨音もすごくて会話もできない。雨に降りこめられるとはこういうことか、という感じだ。

けれど、考えてみると、ガボンで雨に「降りこめられた」というような覚えはあんまりない。もちろん大雨は何度も経験している。どちらかというと、ガボンのほうがデカい雨が降る。

ガボンでは「降りこめられる」というより、「雨に降りさらされる」という感じだ。

同じ森での雨なのに、なんで感じ方が違うのだろう。思うに、それは森の深さの違いによるのだろう。

ンドキの森は高かった。そして、その高い森が連続していた。観察対象のチンパンジーやゴリラ、サルたちはその高い森の上のほうにいた。あそこまで浮かぶことができればな、と思いながら、あー、ここは深海の底ならぬ「森の底」だ、と感じたものだ。光もほとんど刺してこない。日がかたむくと、あっという間に周囲が闇につつまれた。

そんなところで大雨にあうと、森がほんとに深海になってしまったかのように感じる。キャンプはさながら壊れた深海潜航艇のようだ。

ガボンの森も、日本の森よりはるかに高い。けれど、ところどころに切れ目やギャップがある。虫食いのようにサバンナがあったりして、そんなところでは、光は横からも刺してくる。日中はかなり明るく、夕方になっても、なかなか暗くならない。モコモコとドーム状に分布する森の塊に入ったり出たりしながら調査をしている。朝、キャンプを出発すると、山陽新幹線がしょっちゅうトンネルに出入りするように、「森の中」に入ったり出たりしながら、一日を過ごしている。

プチロアンゴのキャンプはサバンナに作っていたし、ムカラバのキャンプもプランテーション跡の開けた場所だ。つまり、森の「外」にあるのだ。だから、そんなところで大雨に会うと、キャンプごと自分が雨にさらされてるように感じるのだろう。

どちらがよい環境ということはないのだが、心地良さということだけ考えれば、森の底にいた時間のほうが、幸せだったように思う。

2009年4月14日

オランの新生息地発見???

Nokoさんのブログにもあるが、こんな記事が。

オランウータンの新生息地発見=インドネシアの森林、最大5000頭か
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090413-00000159-jij-int

ちょっと前に、
コンゴで数万頭のゴリラ生息地がみつかったという報告もあったが...。
このての情報は、眉に唾をつけつつ、その後の報告に注目するというのがいいと思う。

まず、オランウータンはフラッグシップ種なので、「オランウータンがたくさんいる」という報告は、単に「ここの森林が大事である」というよりインパクトがある。それを狙って発表しているのだろう。

日本で開発に反対する市民団体が「オオタカの営巣を確認した」と言うのと似ている。もっとも、オオタカの場合は、単にインパクトがあるだけではなく、そこの生態系の重要性の指標ともなるので、同じではないけれど。

第二に、大型類人猿の個体数は直接カウントではなく、かれらの痕跡の発見頻度をもとに、統計を駆使して推定値を出すので、実はかなりいいかげんなのだ。

「生活拠点」というのは、オランが毎日つくる「ベッド」のことだろう。つまり、該当する地域で生息調査を行なったところ、オランウータンのベッドを219個みつけたよ、というのが、この記事に語られている唯一の事実だ。

そして、「その数から推測すると、数百頭~数千頭」というのは、データを「ベッドの数から個体数を推定する統計ソフト」にかけてみたら、桁数さえ確定できないほど誤差の多い推定値しか得られなかったよ、ということだ。

ことの真偽は、結局のところ、実際に調査をスーパーバイズした霊長類学者をつかまえて、「あれってホントなの?」と聞いてみる以外にない。たぶん「It could be. (ホントの可能性はあるよ。)」ってくらいだろうけど。

人々に保護を訴えるには、ある程度インパクトのあるプレスリリースも必要だろう。けど、あまり針小棒大をくりかえしていると、そのうち信用をなくすのではないか。

逆に、この記事で「そんなところが新しくみつかるんだったら、今絶滅絶滅って言ってるのは何?」という反応をする人もいるだろう。

ということで「気をつけながら進め」で続報を待つことにする。

2009年4月12日

「つる」練習中

私的ページのほうに書いたように、この1月から「入鹿屋猩吉」として落語の修行(?)をはじめている。師匠のみなと屋かもめさんは、大学の落研で朝ドラ「ちりとてちん」で徒然亭の一番弟子の役を演じた桂吉弥さんの一年先輩だったそうな。

というわけで、関西の落研の一年生はみんなはじめにこの噺をやることになっているという、「鶴」に挑戦。土曜日の小学校の校庭で大声を張り上げている。

初めて自分でやってみて、おもしろい話を、おもしろく話すのはとても大変なんだなあと実感。かもめさんはしきりに褒めてくださるけど、やってるうちに、だんだん自分が喜ぃ公と甚兵衛、どっちのセリフを喋ってるんだかわからなくなってくる。

それにしても、かもめさんのアドバイスは、いちいちなるほどなるほどと思うことばかり。言われた通りにやってみると、自分でもずっと良くなったのがわかる。

とりあえず、はやくネタを覚えなくては。

2009年4月 8日

新学期

ううう、前回の書き込みから1ヶ月たってしまったのね。

その感、学生の引率でロンドンへゆき、帰国したら一息つく間もなくオリエンテーションやら何やら...。

更新しないブログほどつまらんものはないので、今年度は一言程度でも更新していきたいと思います。